毎年12月は税理士業界の一大イベントがあります。
それは、税制改正大綱というものです。
自民党が翌年改正予定の税制の概要を発表するもので、
発表された内容のほとんどが翌年4月から施行されます。
今回発表された改正の一つに、所得税・住民税の定額減税があります。
これは、一人合計4万円を一律に減税しようというものです。
これだけ聞くと素晴らしい話ですが、
手放しに喜べない改正なのです。
というのも、具体的な減額の方法を見るとで逆効果の可能性があるからです。
なぜ喜べないのか
具体的な減税方法が複雑であることが原因です。
住民税は問題ないのですが、所得税の減額方法に問題があります。
具体的な方法はというと、毎月給与から天引きする所得税を減らして
間接的に3万円を減税しようとしているのです。
これにより、給与計算・年末調整のの作業の手間が増えることが予想されます。
さらに、きちんと計算されているかのチェックをする国側のコストも考えると、
果たして減税する意味があるのでしょうか。
減税による景気回復は見込めない
今回予定されている減税のやり方が、
給与天引きの所得税の金額で調整するというものです。
はっきり言って、このやり方だと
国民はお金をもらえているという感覚が薄れます。
それよりは、シンプルに3万円を国民に給付したほうが投資は促進されると思います。
そういう意味でも効果が見込めません。
今回のように、税制改正はたまに実務の煩雑さを
無視したものが発表されることがあります。
今回はその典型的な事例です。
ただ、税制改正大綱は野党や国民からの
強い反発があれば変更されることもあります。
今後の動向に注目していきたいと思います。
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